3.被写体の位置と大きさ。




「どうしても記念撮影みたいになっちゃう…」
「出来上がった写真を見るとイマイチ子供が目立ってない…」

と、感じていらっしゃる方、
意識的に被写体の大きさや位置を今までの感覚から極端にずらしてみましょう。

ただし、被写体の位置と大きさは、背景とのバランスを見ながら選ぶことが肝心です。





(1)被写体をより大きく


いつもよりもグイッと被写体に近づいて撮ってみて下さい。
ズーム機能でギリギリまでドアップで撮ってみるのも面白いですよ。



この絵の面白さは、一眼レフの広角ならではの効果によるものが大きいことは否めませんが、
それでも大胆なくらい被写体をドーンと、大きく捉えようとする意識に着目してみてください。



こちらは幼げなお子さんの体の一部だけをクローズアップすることで、
被写体の表情まで想像させる面白さがありますね。

人物の全身を入れるにしても、いっそのこと余計な背景は切り取って、
まずは被写体がはみ出るくらいギリギリまで大きく撮ってみる、と、いう試みをしてみると、 今までの物足りなさから一歩前進するかもしれませんね。




(2)被写体をより小さく


※今度は逆に、いつもよりも被写体からグーンと離れて撮ってみましょう。
広がる背景の中にあえて被写体をポツン、と、置くことで、
返ってその存在感をアピールさせることもできます。

ただし、くれぐれも気をつけなければならないのは、
その場合、ゴチャゴチャした背景に被写体を重ねない、と、いうことです。
被写体自体が背景の中で抜きん出て目立つ色味を帯びているとか、よっぽど奇抜な格好をしているとかでない限り、
被写体は確実に風景の中に埋もれて、何を撮りたかったのかわからない絵になってしまうので気をつけましょう。



長い影法師が入りきるほどの広い背景の中に被写体をぽつん、と、置くことで、
夏の一日を名残り惜しむ被写体の、ちょっぴり淋しくて切なげな空気が醸し出されています。
抜けに木や家などがありますが、あくまでも被写体は地面の部分に重なっているので小さくても埋もれることがありません。
更に、背景の影の部分に重なる虫取り網とキャップの白が映え、ますます自然と被写体に目が行きます。



こちらも、面積を多めに取った地面に被写体が重なっています。
背景にドーンと、大きな校舎を入れ込むことで、ますます被写体の小ささが強調され、
それゆえ、小さくても被写体が目に飛び込んでくる面白い絵になっています。



広い絵で撮ると背景にあるものと被写体との比較を表現できたり、
風景の中に息づく被写体の存在感や心理状態を表現することができるんですね。




(3)主役は真ん中とは限らない。
主役は真ん中…と、思い込んでいらっしゃいませんか?
もちろん、ど真ん中に被写体を置くことでその存在感を強調する、と、いうこともありです。
でも、敢えて真ん中からずれた位置に被写体をおくことで、
被写体の反対側に広がる空間と合わせてドラマ性が生まれることがあります。

背景の部分に写りこんでいる物や景色の持っている印象が被写体の引き立て役になることもあれば、
日本人なら理解できるであろう“侘び寂び”の効果をもたらすこともあり、
ど真ん中に置くよりももっと被写体の存在感を深く印象づけることがあります。


つま先の前に(歩いてゆく方向に)広がる地面が、
被写体がこれから経験するであろう夏の物語を予感させてくれます。




逆に、背後に(歩いてきた方向に)広がる空間が、
被写体が夢中で過ごした一日を想像させ、それゆえ、寂寥感を漂わせます。
被写体が振り返っている瞬間を捉えているのでますます空間の存在に意味を感じさせます。




被写体の後ろに広がる地面に、被写体がキコキコキコ…と、刻んできた細い轍が見えてきます。
また、地面の面積が大きく取られているので後ろの校舎の存在感強くなり過ぎないのです。








いかがでしょうか?ご参考にしていただけそうでしょうか?
これらはあくまでもヒントの一部にすぎませんが、一度ひとつひとつ意識しながら試し撮りなさってみてはいかがでしょう。
幸い、デジタルカメラはどれだけでも取り直しができますので、
どんどん撮って、やがては、ここに書いてあるアドバイスに縛られない、ご自分だけの絵を見つけてくださいね。


近々また、ワンポイントアドバイスのプラスαと、
一眼レフ初心者の方のためのプチ・アドバイスを掲載させていただきます。
どうぞお楽しみに♪