一眼レフ初心者の方のためのワンポイントアドバイス




広角と望遠を使い分ける。
ここまでのアドバイスの中で、『背景を選ぶ』ということを伝えてまいりました。
ここでもまた『背景のコントロール』を主題に一眼レフならではの効果的な撮り方をお伝えしたいと思います。





(1)広角の特徴
広角=広い範囲が写る→ワイドな絵を撮るのに向いている、
と、思われがちです。
風景画を撮るのであればそれで構いませんが、
景色の中に“被写体”がある場合はただ漠然と撮ってしまうと被写体が小さくなってしまい 何を撮りたかったのかわからないような、なんだかつまんない写真になってしまいます。


実は広角の魅力は近くの物はより大きく、遠くの物はより小さく写す、
つまり、遠近感を強調する、と、いうところにあります。


遠近感を強調した写真を撮るためには、
レンズを広角にして(レンズが短くなった状態)、
なるべく被写体に近づいて(最高でも2m以内)撮ります。


広角ならではの特徴を活かすと広く背景を写り込ませながら奥行き感のある絵を撮ることができます。
ただし、被写体から離れて撮ると遠近感を強調するという特徴が発揮されず、
先に述べたような小ぢんまりとしたつまらない絵になってしまうので気をつけましょう。




(2)望遠の特徴
望遠の特徴は、もちろんその名の通り遠くの物を近くに引き寄せて大きくすることです。 が、子供の運動会の時のように、ただ近づいて撮れないから望遠で撮る、と、いうのではなく、 望遠の特徴を活かせば望遠ならではの魅力的な絵を撮ることができるのです。


望遠の魅力は背景をぼかした処理ができるところにあります。
淡くボケた背景の中でピントの合っている被写体が浮き上がったように写せるのは
望遠ならではの効果です。


この特徴を活かした写真を撮るためには、
レンズを望遠にして(レンズが長く伸びた状態)
被写体から離れて撮ります。


背景がゴチャゴチャしている時も望遠の特徴を活かせば
景色の中に被写体が埋もれることなく、むしろ際立たせる効果をもたらします。




(3)広角と望遠の写真を比較
A=広角、B=望遠、で撮った写真です。
どちらもミサトっ子の大きさは同じくらいなのに、背景に写り込んでいる遊具の大きさがまるで違いますね。

Aはカメラからミサトっ子までの距離が1mくらい。
Bはカメラからミサトっ子までの距離が10mくらい。


Aは背景もしっかり写り込ませることで、ミサトっ子の置かれている環境を見せてドラマ性を深めています。
Bは背景がボケているのでゴチャゴチャした色味の中でもミサトっ子がくっきりと浮かび上がり、 背景の色味はむしろ絵にカラフルさを添える効果をもたらしています。



もう一組お見せしましょう。



もうどちらが広角でどちらが望遠かおわかりですよね?
A・B の時よりも更に遠い背景で撮ってあります。


C(=広角)は、遠くのビルまで小さく写り込んでミサトっ子のドアップが強調され、
遠近感と迫力のある絵になっています。
D(=望遠)は、遠くのビルや緑がフレーム内に入りきらないほど大きく引き寄せられ、
ボケた景色の中でミサトっ子の存在感が強調されています。


どちらがお好みでしょうか?
広角と望遠、それぞれにそれぞれの魅力がありますよね。
広角と望遠を使い分けて上手く背景をコントロールしてみてくださいね♪




補足
上記まではあくまでも背景のコントロールを主題にご説明いたしましたが、
広角で被写体にできるだけ近づいて撮ることで広角ならではの迫力ある写真を撮ることができます。


広角で被写体にうんと近づいて撮ると、
両端から中央に向かってギュイ〜ンと膨らむようにアップになるので、
軽く魚眼レンズのような効果が出て迫力が生まれます。


背景を入れて撮ると遠近感がますます強調されて、
被写体の存在感がドーンと大きくなりますね。


ただし、人物を撮る時などは注意が必要です。
広角はフレームの端がゆがむので、ド真ん中の被写体には問題はありませんが
端に写る被写体は横にミヨ〜ンと引っ張られたみたいに顔がゆがんでしまいます。
端の方ほどゆがみが目立つので、なるべく人物は極端に端に入れないように気をつけましょう。
もちろん、その効果を狙う場合は別ですけどネ♪